電車でよくある出来事
東京からの帰路、時間は20:00頃
地震の影響で臨時ダイヤとなり乗り換えがとにかく多い
なので新幹線を降りて快速▶︎次は在来線へと。
んで待機中の電車に乗車しましたと。
唯一ここのシートが空いていた
左隣はブラウン基調コーデな芸大っぽい女性
一生懸命に手書きで何やら絵を書いている
右隣の男性、とにかく高性能過ぎるキャスターのキャリーケースが電車の発車減速カーブ停車に反応して右往左往している
それでも何事もなく電車は運行を続ける
静まっている車内。
突然右隣の男性のバックから壮大なオーケストラサウンドが。。もちろんスマホの着信音だ
遠慮もなく通話を始めたこの男性、どうやらこの聞きなれない言語は日本ではあまり馴染みのない他国の人のよう。
その外国人さんの片手にはスマホ、足元には大きめのキャリーケース。
そのキャリーケースは電車の加速と共に暴れて抑えては定位置に戻し手を離せばまたキャリーケースはウロウロして遂にキャリーケースは大きな音と共に勢いよく倒れ込んでしまった
偶発的な展開
それでもキャリーケースをほっぽいて通話が続く
で、停車のアナウンスと同じタイミングでようやく通話が終わった
走行していれば電車は不安定。停車という安定のスキを見計らって男性は結構滑ったキャリーケースを回収すべく立ち上がる。
そしてキャリーケースを起こし席に戻ろうとしたその刹那
停車しドアが開き乗客が乗り込んで来た。この神的タイミングで意気揚々と入れ替わりシートを確保したのは今から出勤しそうなチャンネーだった
既に乗っていた乗客全員がこの不遇を見逃さなかった
席に戻れないまま立ちすくむ外国人と何の罪もない化粧直しに励むおねーさん。。
いや、無知は罪というのもこんな状況になって初めて理解出来たりする
しかし、こんな状況だが誰も悪くない。
この微妙な展開をおねーさんに説明、諭すべくツワモノが立ち上がる
諭しておねーさんは席を譲りスタンディング
何故か諭した人もスタンディング
で、次の駅でおねーさんと論客と数名降りる
電車内でのポジショニング
半端に空いた座席が結構気まずい
誰かが移動して均衡を保つのが共存というものだ
この状況で皆が思うであろう理想的なポジショニングは、こうだったんではなかろうか
とみんな感じていたこのタイミングで今度は左隣の女性が立ち上がる
立ち上がったから、これはプランBのフォーメーション的ポジショニングを遂行するもんだと勝手に解釈してみた
移動すると思ったらさっきまで描いていた絵をおもむろに向かいにいたカップルに元気よく言葉を添えて渡した笑
どうやら向かいのカップルを模写していたようだ
芸術家っぽい彼女にとって今起きている車内の有事は大した事案ではないようで、重要なのはいつ「この作品を対象に渡すか」だったようだ
人間、有事には団結が、平和には分断があるわけだけど個々をみればそうでもない
なんかここまでくると夢でも見てるんじゃないかと思い始めて来た笑
でも誰も悪くない
さらに続く
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聞き間違いと判断
『次は〜石越(イシコシ)、石越(イシコシ)ィ〜』と車内アナウンス。
終点で下車する私にとって途中下車駅のアナウンスは耳に入らない
そんなアナウンスをスルーしている私に右隣の外国の方が
「イチノセキ?」と突然聞いてきた
確かにイチノセキはこの運行の終着駅だしお相手の言語は英語圏でもないようだしとりあえず私は首を縦に振ってみた。
これが愚策だった
このぎこちない2人のやりとりは周りの人達もスマホいじりや自己没頭しながらも耳に入っていた雰囲気だ
再度アナウンスは言う。「間もなくイシコシに到着します」
私はふと時系列を振り返り思う。次はイシコシ。。。今さっき彼が聞いてきたイチノセキ。。
列車がイシコシに近づきスピードダウンしてくるとその外国人はキャリーケースを握りしめ立ち上がった
みんなが「まさか!」と凍りついた瞬間だった
何故なら恐らくみんなイチノセキ≒イシコシと推測できたからだ
次の停車駅は確かにイシコシ
降りる素振りそれ聞き間違い?
もしかして目的地 実はイチノセキ?♪
惑わしているのは地名の韻だ
もう時間がない
「イチノセキ?」だったのか「イシコシ?」だったのか
私はこのカタコトの問いを懸命に振り返ってみる、いやみんなもそうだったはず。個々の目的で乗車した列車。それぞれの目的で乗車し分断だったはずの乗客達。
今思えば、きっとあの時あの車両にいた人達は結論が完全に一致していたと思う。
「イチノセキじゃね…?」 と。
停車寸前で私は立ち上がり「イ・チ・ノ・セ・キ?」
と確認してみた
外国人の方がうなずいたので私は「NO,まだ。」となだめるように伝えてみた
一旦2人とも着席し現場には一瞬だけ安堵の空気が流れた
キャリーケースは相変わらず暴れている笑
そしてイシコシには誰も降りず電車は次の目的地へ向かった
これで良かったんだろうか。。全員がそう思ったと思う
もう20:00過ぎてるし都心じゃないから最終便かもしれない。だとしたら取り返しはつかない
座席のポジション取りだけで私は引率役となりそのプレッシャーに押し潰されそうになった。なんだこの状況は。
少し落ち着いた感じになったところで外国人の方が一枚のメモを見せてくれた
一枚のハガキサイズの用紙に母国語でメモが沢山書かれていて文字は読めないけれど私は凝視してみた
唯一読めたワードがホントに微妙で紙一重だった
「ishinoseki」。
(イシノセキ???イチノセキ?・・イシコシ。。?)微妙過ぎて半々のジャッジに思わず口をふさいでしまった。。この私のアクションを周りは見逃さなかったと思う。やっちまったのか。。こんな状況でも左隣の芸術家はマイペースに新たな作品に着手してる模様
でも8割方イチノセキって読めるし全員を安心させるために不安の渦中のある異国の方へまとめたジェスチャーが『👌』だった。私はもうメンタルいっぱいいっぱい。
最終的に切符を拝見させていただきその切符がイチノセキ行きだったので一件落着!マジで良かった。。。
今回のオチ、最初っから切符見せてもらえばよかったって結論
私なんかより外国の人はもっと不安だったろうなぁ